経路検索コラム東海道新幹線、どの駅から乗る? ~新横浜線を使う理由~

東海道新幹線、どの駅から乗る? ~新横浜線を使う理由~

3月18日に相鉄・東急直通線が開業し、都心から新横浜駅まで1本あるいは対面ホーム乗り換えのみで行けるようになりました。

これにより、都心から東海道新幹線に乗る時に今まで東京駅や品川駅を利用していた場合でも、直通列車に乗車して新横浜駅を利用するという選択肢が視野に入るケースが出てきました。

実際に利用するタイミングでどちらが早いか・安いかなどは、是非皆さんの利用する駅に合わせて「駅すぱあと」を利用して調べていただきたいのですが、東海道新幹線の使い方によって「この場合は東京駅/品川駅/新横浜駅を目指すべき」というのが違ってきます。

ここでは、その考え方の例をご紹介しますので、それに合わせて是非新横浜線の利用を考えてみましょう!

※本記事は2023年5月のダイヤ・運賃に基づいて執筆しています。

自由席で座りたいなら、東京・品川を目指そう

もし新幹線で指定席を購入していなかったり、乗る列車を決めておらず自由席を利用するという場合には、始発駅やそれに近い駅から乗車することでより良い席(窓側など)に座ることが容易くなります。

※日程や時間帯にもよります!

東海道新幹線の東京始発の列車は、全て品川・新横浜に停車するので、指定席を取ることを前提にするならどの駅から乗車することもできます。

一方、自由席で良い席を狙うなら、始発の東京駅で並べば確実ですし、品川駅時点なら列車等によっては希望の席に座れることもあるでしょう。

目的地が広島や博多など長距離でかつ(指定席が取れなかったなどの理由で)自由席に座りたい場合であれば、横浜付近に住んでいたとしても一旦東京駅を目指す価値はあるでしょう。

新幹線代を安くするなら、新横浜が有利?

一方、東京駅・品川駅ではなく新横浜駅を使うのが絶対的に便利な側面もあります。それは、新幹線の乗車距離を短くすることで、新幹線の料金、あるいはJRの乗車券運賃を抑えられる場合です。数百円程度ではありますが「安くなりやすい」パターンがあります。

例えば新幹線の降車駅が京都駅の場合、新横浜-京都間の新幹線料金は東京・品川-京都間の料金よりも340円安く、乗車券も合わせれば670円安くなります。他にも西明石駅や新山口駅、小倉駅などへは新横浜から乗車した方が料金が安く、岡山までのほぼ全駅や広島駅、博多駅などへは乗車券の運賃を抑えることができます。

ただし、東京駅・品川駅発着のJRの乗車券は、100km以上であれば山手線内、200kmであれば東京都区内発着の乗車券となります。渋谷駅発であれば東京駅・品川駅発と同じ乗車券を利用できるため、渋谷-品川間の運賃178円を実質0円とすることができます。このため運賃で見れば、東京駅もしくは品川駅から新幹線へ乗車した場合と、新横浜駅から乗車した場合の差は縮まります。

渋谷駅発、京都駅着で考えてみると以下のようになります。

逆に、新横浜駅を便利に使えるケースでも、東京駅や品川駅が安くなることもあります。

それは、乗車券・料金共に新幹線乗車駅が東京駅・品川駅・新横浜駅いずれでも変わらないパターンです。新幹線降車駅が福山駅などの場合が挙げられます。その際、出発地から東京駅・品川駅・新横浜駅への運賃で、トータルの運賃の安さ順が決まります。

渋谷駅発、福山駅着で考えてみると以下のようになります。

細かい金額は駅すぱあとなどで比較できるとして、その他の要素(山手線と東横線、どちらが乗りやすいか、混んでいるか等)で乗車駅を決めても良いかもしれません。

※なお、エクスプレス予約などのインターネット予約サービスで一部の割安なきっぷやチケットレス機能を利用した場合、新幹線乗車駅までの乗車券は別途必要になることがあるので注意が必要です。

新幹線下車後こそ新横浜から乗車が便利かも

新幹線にこれから乗車する時と、新幹線を降りて自宅や会社へ向かう時では、新横浜線・新横浜駅の使いやすさは大きく違うかもしれません。

都心から新横浜駅への直通列車に乗車する場合の注意点としては、途中駅(武蔵小杉駅・日吉駅など)や相鉄線方面など他の目的地に向かう乗客も多く乗車しており、また始発駅等でなければ着席できるとも限らないというものが挙げられます。また、特に東横線方面から新横浜への直通列車は日中だと30分に1本程度と少なく、一旦武蔵小杉や日吉まで乗車した上で目黒線からの新横浜方面の列車に上手く乗り継げるかもタイミング次第となります。

複雑な乗り換えを挟む移動は、乗車する列車が決まっていることの多い新幹線乗車前にはできれば避けたいことかもしれません。

一方で新横浜から都心への直通列車に乗車する場合、ほぼ目黒線方面限定ですが新横浜始発の列車も設定されており、相鉄線内始発の直通列車に乗車する場合でも、朝の通勤時間帯や新横浜駅周辺でのイベント終了直後でもない限りは比較的空いています。夜間の上り方面は特に空いています。

先発列車から東横線方面・目黒線方面それぞれへの乗り換えも、新横浜駅から10分前後程で到着する日吉駅または武蔵小杉駅で行えるため、比較的便利です。

主に心理的な側面とはなりますが、新幹線乗車前と下車後なら、下車後の方こそ新横浜線のありがたさを享受できる人の方が多いかもしれません。

意外と「菊名乗換」も引き続きオススメ

新横浜線開業のメリットとして「菊名駅で一旦(JR横浜線と東急東横線を)乗り換える必要がなくなった」というものが挙げられます。単純に乗り換えが1回減少し、乗車時間も数分短くなりました。

しかし、依然として「菊名駅で乗り換える」方が便利だというケースもあるので、その理由を2点ほど挙げます。

1つは、新横浜駅での新幹線からの乗り換えは、JR横浜線の方が便利だということです。

新幹線からJR横浜線へは、乗り換え専用改札を通って、すぐにエスカレーター・階段を昇り降りする必要はありますが、距離としては目の前で、5分程度あれば乗り換えることができます。

一方、新幹線から相鉄・東急のホームへは、地下の改札まで降りた後さらに2〜3階層ほど降りる必要があり、標準的な乗り換え時間としても10分は見ておく必要があります。

菊名駅でさらに乗り換えがあることを考えても、乗り換えに費やす時間そのものに大差はないかもしれません。

もう1つは、菊名駅の方が東横線渋谷方面への直通列車が断然多いという点です。

新横浜駅から東横線方面への直通列車は日中なら30分に1本で、それ以外のタイミングでは目黒線直通の列車からの乗り換えが必要ですが、菊名駅から渋谷方面への列車は、特急(通勤特急)・急行など渋谷に先着する優等列車だけでも30分に4本程度は存在します。

つまり、新幹線下車後に東横線自由が丘以遠へ何も考えずに移動したい場合には、従来の菊名駅乗り換えの方が楽という考え方もできます。

なお運賃面でも、JRの横浜市内発着の乗車券を利用できる場合であれば、新横浜駅〜菊名駅間は実質0円で移動することができ、東急線の運賃も加算運賃を考慮すると新横浜発着よりは菊名発着の方が70円ほど安い場合が多いです。


いかがでしたでしょうか。

通勤通学などの日常利用から出張や旅行といった新幹線での長距離移動まで、それぞれのシーンで乗り換えパターンを使い分けることができると、お出かけがもっと楽しく快適になるかもしれません。

是非ご移動の際、経路検索や運賃の確認、運行情報のチェックには「駅すぱあと for web」をご活用ください。

※本記事に情報を掲載する際には細心の注意を払っておりますが、掲載されている情報の正確性、最新性、有用性等その他一切の事項について、いかなる保証もするものではありません。掲載されている情報が不正確であったこと等により本記事の閲覧者に生じたいかなるトラブル及び損失、損害に対しても責任を負うものではありません。あくまで一鉄道ファンによるコラムとしてお楽しみください。

記事一覧に戻る